連続式高濃縮装置
リカバリー
従来機の問題点とリカバリー
図−1:液流速の変化
加熱蒸発により、液体を濃縮する装置の問題点として、次の様なことが考えられます。
1.連続式の回転流下薄膜蒸発装置の場合
1−1.液体が蒸発しない間に重力により加熱面を通過して、濃縮率が上がらない。
1−2.加熱面の下方で液切れを起こし、焼け焦げを起こす。
2.回分式の蒸発缶の場合
2−1.最後まで濃縮することはできるが、大量の液を処理するには向かない。
2−2.液面の低下による有効伝熱面積の減少により、濃縮の最終段階に時間を要する。
2−3.液切れを起こした個所での焼け焦げ、結晶析出により蒸発効率が低下する。
2−4.高真空に適さない。
この両者の問題点を同時に解決したのが、連続式高濃縮装置”リカバリー”です。
容器加熱面円周部に散布された液は、蒸発が進むにつれて流下速度が小さくなり、十分に濃縮されます。(図−1)蒸発による液の減少に伴って、加熱面の周長さが小さくなるため、均一な液膜を形成することができます。その結果、焼け焦げを防止しつつ、高濃縮が可能となりました。また回転が遅いため、消費動力も少なくて済みます。
図−2の”リカバリー”は、本体下部が加熱面、上部が冷却面という構造のため非常にコンパクトであり、高真空での蒸発に適しております。低真空〜常圧での蒸発には、コンデンサーを持たないものも製作しております。
構造
下に連続式高濃縮装置”リカバリー”の構造を示します。
容器に導入された液は、液分散管により加熱面の上部へ均等に供給されます。そして、特殊な回転羽根により掻き上げられた液は、薄膜を形成しつつ蒸発を行います。
羽根形状、加熱面との接触・非接触等は液に合わせて選択することができます。
濃縮の進行に伴って、加熱面の周長さが小さくなるので、焼け焦げを防止できます。薄膜の形成による蒸発の高効率化により、1パスでの濃縮が可能です。回転が遅いため、少ない動力で運転することができます。
また、凝縮液と濃縮液の分離、原料供給時の飛沫同伴、蒸気のショートパス等に関する対策を十分ほどこしており、高真空での蒸発操作に適しています。
図−2:リカバリーの構造(高真空タイプ)
No | 名称 |
---|---|
(1) | 液分散管 |
(2) | 回転羽根 |
(3) | 加熱面 |
(4) | 冷却面 |
MARK | SERVICE |
---|---|
N−1 | 原料入口 |
N−2 | 留出液出口 |
N−3 | 缶出液出口 |
N−4 | 真空引き口 |
N−5 | 熱媒入口 |
N−6 | 熱媒出口 |
N−7 | 冷却水入口 |
N−8 | 冷却水出口 |
特徴
- 液を効率よく濃縮できる。
- 液切れを起こさない。(焼け焦げを防止できる。)
- 高真空、高濃縮に適している。
- 装置をコンパクトにできる。
- 強力かつ安定な濃縮ができる。
- 運転コストを低く押さえられる。